煤払いと『ハイキュー!!』(4年生)
12月に入り、校内には「まとめの季節」の空気が静かに満ち始めました。
今は、2学期の学習や学校生活をふり返るだけでなく、2025年という一年をどう過ごし、どんな日々を重ねてきたのか。そんな“自分自身の足あと”を見つめ直す大切な時期でもあります。
私は4年生の国語担当として、
「生活の中で関わるすべてのものが国語の教材である」
という考えを大切にしています。
教科書の物語文や説明文だけが国語ではありません。
季節の行事、生活の中の音、友達と交わす会話。さらには、昨日観たニュース、好きなアニメ、持っている趣味など、子どもたちが毎日触れるものすべてが、言葉や文化につながる「学びの材料」になるのです。その一つとして、12月の風習である「煤払い(すすばらい)」の話、そして、アニメ『ハイキュー!!』の話をさせてください。
江戸時代、12月13日は「一年のけじめの日」とされていました。
新年の神様を迎えるため、家じゅうのほこりや煤を払い落とし、清める行事が行われていたのです。この煤払いには、次のような意味が込められています。
・一年の“汚れ”を落とし、心まであらたまる
・住まいへの感謝を形にする
・新しい年を迎えるための準備をする
・季節の移り変わりを生活の中で感じる
掃除という身近な行為の中にも、日本が大切にしてきた言葉と文化が息づいています。




最近、4年生の子どもたちが休み時間などの隙間時間に、机の中やロッカーの整理、教室の掃除へ黙々と取り組む姿をよく見かけます。その姿を見ていると、アニメ『ハイキュー!!』に登場する北信介の言葉を強く思い出します。
『「神さんはどこにでもおるからな。誰かが見とるよ。」
ばあちゃんはいつも言うとったけど、そのうち俺は、どっちでもええなって思うようになった。神さんのためにやっとるわけやないしな。反復・継続・丁寧は心地ええんや。』
このセリフが流れたシーンは、子どもたちと同じく、北信介がばあちゃんといっしょに廊下を掃除している場面から始まります。
この言葉に込められた世界は、単なるスポーツの話にとどまりません。
日々の小さな行動が自分をつくり、その丁寧さが“心地よさ”につながるという、生活文化そのものを表しています。
誰かに褒められるから掃除をするのではなく、当たり前に続けることそのものに価値がある。
暮らしの一部として積み上げる「反復」「継続」「丁寧」。
それはまさに、日出学園小学校で子どもたちに伝えたい学びの姿です。
4年生の“黙々と整える姿”は、この言葉と驚くほど重なって見えます。そして、これは掃除にとどまりません。自分の人生を、自分を土台として生きていく強さが、今、社会的にも求められています。私はそんなことを思いながら、『ハイキュー!!』を思い出しました。




2025年も残りわずかとなりました。
4年生が取り組む整理整頓や掃除は、単なる作業ではありません。学びに向かう姿勢や、自分の生活を自分で整える力など、すべての土台となるものです。
子どもたちが「反復・継続・丁寧」を心地よく感じながら、一年の締めくくりを自分たちの力で整えていく姿を、これからも温かく見守っていきたいと思います。
