日出学園の活動日記BLOG

「働く」のコミュニケーション・ディベート in ほしや

コミュニティプロデューサーで「ほしや」店主の佐藤シュンスケさんをお迎えして、学習クラブ「コミュニケーション・ディベート」を開催しました。
(「コミュニケーション・ディベート」については、こちらの朝日新聞DIALOGの記事をご覧ください。)

参加者は、日出学園高校の生徒たちと卒業生、教員、佐藤さん。佐藤さんは「僕らの夏休みプロジェクト」を運営している一般社団法人「ことば」の理事でもあります。
(「僕らの夏休みプロジェクト」については 、http://bokunatsu.com/ をご覧ください。)

 

今回のテーマは「働くひとのリアルが知りたい」。
参加者には、下の文書を前もって配布し、自分の意見を考えた上でコミュニケーション・ディベートしました。

 

今回は浅草にある、コミュニティスペース・カフェ「ほしや」でコミュニケーション・ディベートを行いました。
参加者からは「環境が違ってとても新鮮な気持ちで挑めた。ほしやさんのお店の内装がとても落ち着く!」といった感想もあり、今回は少し「哲学カフェ」っぽいような雰囲気でした。

 

テーマの「働く」ということについて参加者からは多種多様な意見が出されました。
それに対して、それぞれの参加者が他の参加者の多様な考えを受け止めていて、今回はコミュニケーション・ディベートらしい回となったと思います。

佐藤シュンスケさん、ありがとうございました。

 

これからも、さまざまなテーマで「コミュニケーション・ディベート」していきます!

 

————————— 以下配布文書 ——————————

テーマ:「働くひとのリアルが知りたい」

 

コミュニティプロデューサーで「ほしや」店主の佐藤シュンスケさんは,日出学園の卒業生です。私(佐久間)が教員になって最初に担当した生徒の一人であり,卒業後の彼の様子を見ていて,私のかなり興味を引く生き方をしている卒業生の一人です。

今回彼に,「働く」に関して私が聞きたいことを聞いてみました。(私の意図的にまとめたので,この文責は佐久間にあります。)

 

まず,シュンスケさんの日出を卒業してからこれまでって?

一浪してムサビ(武蔵野美術大学)に入学しました。芸大(東京芸術大学)を目指していたので,ムサビに入学後も2年チャレンジしましたがダメで,そのままムサビを4年間で卒業しました。

卒業後は大学時代からお世話になっていた,イベントプロデュースやアニメーション制作の事務所で丁稚奉公のように働かせてもらって,そこを5年で辞めて,その後大学のときに知り合った仲間とこの「ほしや」を始めました。

 

—今はどんな仕事をしているのですか?

「ほしや」に週6で働いています。料理やドリンクを作ったり会計をしたり。お店に出ていないときは事務的な仕事もしています。「ほしや」は自分を含めて3人で共同経営していて,「アイデア家業」という会社組織になっています。あとは,民泊を2か所で経営しています。

また一般社団法人「ことば」の理事もしていて,「ことば」は「僕らの夏休みProject」(以下「僕夏」)を運営する会社です。(佐久間注:「僕夏」の紹介には,東北の子どもたちと大学生の交流活動を軸に,地域住民とともに夏祭りを企画する等,地域活性化を図っている,とあります。)月に一度こちらのミーティングに参加したりもしています。

 

—「一般社団法人」という組織化するメリットって何ですか?

自分が代表で最初は20人から始めた「僕夏」も8年目になり,大学生のスタッフも400人くらい,参加してくれる子どもたちも2000人くらいになりました。こうなると参加者に何かあったら,自分だけで責任を負うことは不可能です。そのリスクを分散するため,さらには当初から考えていたのですが,「僕夏」は単なるボランティアで終わらせるつもりはなくて,スタッフの大学生のためにもきちんとマネタイズできないといけないと思っています。そのために最も利点が大きかったのが「一般社団法人」です。

 

—企業で働く場合,給料は年々上がっていくというイメージがありますが,シュンスケさんは収入に対してどう考えていますか?

自分は,あまりお金に対する執着はなくて,とはいえ,今は31歳で月収がだいたい年齢ぐらいですが,30代で100くらいにするビジョンをもっていて,そうなれば自分が楽しくやりたいことをやるくらいの生活はできると思っていて,それ以上は頑張って稼がなくても良いと思っています。

具体的には,今かなり順調にいっている「ほしや」や民泊を,人に任せても大丈夫になったらもう1店舗増やしたり,「僕夏」を大学生の研修のシステムとしてもブランディングして,協賛する企業への就職のマッチングなどでマネタイズできたりしたら,そこからも収益が得られると思っています。

 

—「働く」ということに対して,子どもを養うためという考えがあると思うのですが,今の日本の社会では子どもを大学まで通わせるのはかなり困難があると思います。どう思いますか?

自分もいつか結婚して子どもをもちたいと思っていますが,子どもとは対等に話し合いのできる関係を作りたいと思っています。別に大学や高校にも行かないという選択肢もあると思いますけど,もし子どもが大学に行きたいといった場合,将来,経済的に行かせてあげることは可能だと思っていますが,子どもと話し合って,自分もそうだったのですが,奨学金を借りて行くか,とか。

自分はこれまでの人生で財産と言えるだけのつながりをたくさん築いていて,どうしても困ってお金を貸して欲しいと言ったら,「しょうがないなぁ」って言って貸してくれるような人たちが何人もいます。なのでお金に関してはあまり不安をもっていないというのが正直なところです。

 

問1. 上のインタビューを参考にして,身近で働いている人(もちろん身近でなくても良いのですが)に,自分の「働く」についての疑問について当日までに(簡単に)聞いてきてください。

そして聞いたことをまとめた内容を簡潔に話してください。

①誰に? ②どんな仕事をしている人? ③どんなことを聞いた? ④その答えは? など,差支えない範囲で話してください。

 

問2. シュンスケさんに聞きたいことを質問してください。また,他の参加者の話に質問・意見・感想を述べてください。そして最後に,「働く」とは何か,あなたの考えを一言(ワンセンテンス)で述べてください。